渦巻く知識

蜘蛛の糸

ある日、プリンセスはお城のお庭をお散歩していました。

すると、
「あ、ちょうちょ!」
ちょうちょさんがお庭をパタパタと飛んでいます。

「まてまてちょうちょ」
プリンセスはちょうちょさんを追いかけました。


ちょうちょさんはパタパタ。
黄色いお花の上をパタパタ。
赤いお花の上もパタパタパタパタ
飛んでいます。ところが…


「うわぁ」
ちょうちょさんの叫び声!
「どうしたのかなちょうちょさん?」
プリンセスが駆けつけると、ちょうちょさんが蜘蛛の巣に捕まっていました。

「だれか助けて〜」
ちょうちょさんはもがくけれど、蜘蛛の巣は絡みついてて苦しそう

「たいへん!今たすけてあげるからね、ちょうちょさん」
プリンセスは木の枝で蜘蛛の巣を振り払ってあげました

「ありがとうプリンセス」
ちょうちょさんはそう言うと、パタパタパタと飛んでいきました。


その日の夜、夕ご飯を食べ終えたプリンセスは夜のお散歩にお庭を歩いていました。

すると、どこかからシクシクシク
だれかが泣いてるみたい
シクシクシク

「だれかな?どうしたのかな?」
プリンセスは泣き声の方に行ってみました。

そこにはクモさんがひとりでシクシク
泣いています

「クモさんどうしたの?」
プリンセスが聞いてみるとクモさんは
「だれかが僕のお家をこわしたんだ。僕は何も悪いことしてないのに、お家がこわれちゃったんだ。シクシク」

そこにはボロボロになった蜘蛛の巣がありました。

「どうしてこんなことされるのかな?僕は何もしてないのに」
クモさんはとても寂しそうに泣いています。

「クモさんごめんね。私がお昼にちょうちょさんを助けようとお家をこわしちゃったの。お家がなくなっちゃったから私のお部屋においで。そこならだれのジャマにもならないからお家が壊されたりしないわ」

プリンセスはそう言うと、クモさんを手にとってお部屋に連れて行ってあげました。

「ありがとうプリンセス。ここなら寂しくないよ」
クモさんは嬉しそう


月日は流れて、プリンセスも素敵なお姫様になりました。
その美しさは世界中に伝わるほどでした。

ある夜、そんな美しいプリンセスをひっそりと狙うものがありました。

それは、大きな翼を持つ、わる〜い悪魔でした
「キヒヒ、綺麗なプリンセスだ。夜寝ているところに忍び寄って食べてしまおう」

悪魔はその翼で闇夜の中を飛んで、プリンセスのお部屋へと近づいています。
夜は暗いので、だれも悪魔に気づいていません。

悪魔がプリンセスのお部屋の窓にこっそりと到着して、お部屋に忍びこもうとします。


その時です!

「うわぁ!なんだこれは!糸がからまるぅ〜」
悪魔が叫びました。

悪魔の身体には、強い強いクモの糸がぐるぐる巻きついています。
「コラ!だれだプリンセスのお部屋にしのびこもうとしてるのは!ダメだぞ!」
プリンセスのお部屋の窓には、あの日からずっとクモさんが住んでいました。

「うぅ〜せっかく綺麗なプリンセスを見つけたんだ!やられるもんか!」
悪魔は大きな翼を広げて、牙をむいてクモさんに襲いかかります。

ぷしゅう〜

クモさんの口から糸が出て、悪魔の翼や口をふさいでしまいました。
「プリンセスのお部屋は僕が守ってるんだ!悪者は入れてやらないぞ!」

「うわぁ〜まいったまいった。助けてくれぇ〜」
悪魔はそう言うとヨロヨロしながら、どこかに逃げて行きました。

「よかった。悪魔なんて怖いなぁ」
クモさんはそういうと、自分のお家でまた眠りにつきました。


プリンセスはというと…そうとは知らずにスヤスヤ。幸せそうに眠っています。

クモさんが悪者からお家を守ってくれるので、プリンセスはいつまでも幸せに暮らしたのでしたとさ。

おしまい